不倫慰謝料の金額の決め方

文責:所長 弁護士 田中浩登

最終更新日:2025年04月28日

1 不倫慰謝料は様々な要素によって変動します

 不倫慰謝料には、過去の裁判例などによって形成された相場が存在します。

 一般的に、不倫慰謝料の相場は数十万円~300万円程度であり、事案に応じて大きく異なります。

 不倫慰謝料の金額に大きな幅が存在する理由は、金額を増減させる様々な要素が存在することです。

 代表的なものとしては、①婚姻期間(結婚生活の長短)、②不倫期間の長短および不貞行為の回数、③不貞行為があった時点での夫婦関係の良し悪し、④離婚や別居に至ったか否かが挙げられます。

 以下、それぞれについて詳しく説明します。

2 婚姻期間(結婚生活の長短)

 不貞行為があった時点における婚姻期間が長いほど、不倫慰謝料も高くなる傾向があります。

 不倫慰謝料の請求は、不倫をした側がした不貞行為によって、不倫をされた配偶者側の平穏な夫婦生活を送る権利が侵害された場合に発生するものです(法律上は、不法行為に基づく損害賠償金と表現されます。)。

 平穏な夫婦生活は、長い年月をかけて作られていくものであるとされることから、婚姻期間が長い場合には、不貞行為によって侵害された権利も大きくなると考えられています。

3 不倫期間の長短および不貞行為の回数

 不倫期間が長い場合や、不貞行為の回数が多い場合も、不倫慰謝料が高くなる傾向があります。

 不倫慰謝料は、不貞行為という権利侵害行為によって発生します。

 一般論として、不貞行為が多いほど不倫慰謝料も高くなるといえます。

 また、不倫期間が長いほど不貞行為の回数も多くなると推測されることから、不倫慰謝料が高くなると考えられています。

4 不貞行為があった時点での夫婦関係の良し悪し

 仮に、不貞行為があった時点において夫婦関係が悪化していた場合や、既に破綻していた場合には、不倫慰謝料が低くなることや、発生しないということがあります。

 上記のとおり、不倫慰謝料は平穏な夫婦生活を送る権利が侵害された場合に発生します。

 夫婦関係が悪化していた場合、そもそも平穏な夫婦生活を送る権利が小さい、またはない状態といえます。

 そのため、不貞行為による権利侵害の程度も小さいか、まったくないと評価されます。

5 離婚や別居に至ったか否か

 不倫慰謝料は、平穏な夫婦生活を送る権利をどの程度侵害したかよって変わり得ます。

 不貞行為が原因となって、夫婦が離婚または別居に至ってしまったという場合、平穏な夫婦生活を送る権利は完全に損なわれたということができます。

 離婚または別居にまでは至らなかった場合と比べると、不倫慰謝料も高くなる傾向にあります。

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